2011年4月22日金曜日

遅れてやってきたロボット:クインス

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● 国産ロボットの作業計画


● 福島第一原発の事故現場に投入される国産ロボットQuince。
 右は千葉工大未来ロボット技術研究センターの小柳栄次副所長=千葉工大




 でてきました、国産ロボット。
 この時をクビを長くして待っていた。
 その名は「クインス」という


asahi.com 2011年4月22日15時0分
http://www.asahi.com/science/update/0422/OSK201104220027.html

王国の威信回復かけ…国産ロボット、福島原発に投入へ


 東京電力福島第一原発の事故現場に、ようやく国産ロボットが投入される。
 日本のロボットは「実戦経験がない」と信用されず、まず現場に入ったのは米国製だった。
 「ロボット王国・日本」の威信回復なるか。

 投入されるのは、千葉工業大未来ロボット技術研究センターの小柳栄次副所長や東北大の田所諭教授らが開発した災害救助用ロボット「Quince(クインス)」。
 長さ66センチ、幅48センチの車体に戦車のようなクローラー(無限軌道)が大小五つ。
 カメラやセンサー、ドアノブを回すアームも備えている。

 2009年のロボカップレスキュー世界大会では運動性能部門とアームの性能部門で優勝した。
 米国の模擬災害現場で実験した際、がれきの走行や階段や坂を上る性能などで米国製を圧倒したという。

 今回の原発事故に対応するため、無線操作できる距離を2キロに延長、有線でも使えるよう改造した。
 遠距離操作できるよう、強い電波の使用も特別に認められた。
 日本原子力研究開発機構の研究所で放射線の耐久試験も。
 5時間かけて10万ミリシーベルトをあてても問題なかった。
 作業員の被曝(ひばく)線量の上限の400倍に相当する。

 東電などの作業員が操作の訓練を受けた上で事故現場に投入する予定。
 原子炉建屋内部の様子、放射線量、温度などの調査を期待されている。
 操縦者は2キロ離れたところから無線で指示を出す作戦だ。

 産業ロボットなどでは世界的なシェアと技術を誇る日本。
 事故以来、日本のロボット研究者には国内外から
 「日本のロボットをなぜ原発に使わないのか
との声が相次いでいるという。

 「日本は実績がないから、東電は外国製を使いたがる」。
 東京工業大の広瀬茂男教授は嘆く。
 欧米のロボットは戦場での経験があり、核戦争を前提にした試験も受けているとされる。

 実は、日本でも原発用ロボットの開発を計画したことが2度あった。

 1度目は1979年の米スリーマイル島原発事故を受けて83年に始まった、
 建前は「点検」用の極限作業ロボットプロジェクト。
 90年まで約200億円かけたが、打ち切りに。
 2度目は99年の茨城県のJCO事故の後。
 今度は事故用で数十億円使ったが、
 「原子炉では事故は起きない」
と1年で終わった。

 「事故用ロボットを開発すると『原発事故が起きると思っている』と受け取られると考えたのでは」
と広瀬教授は推測する。


 がんばれ、がんばれ、クインス

 去年は
 「ハヤブサ、地球は君の帰りを待っている」
と、声をからして叫んでいたものだ。
 ヤマトは放射能除去装置を持ってイスカンダルから帰還した。
 クインスは原発の中に放射能を特定すべく潜入していく。
 君のミッションを日本人の誰もが注視している。

 例により、君ならびに君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても当局は一切関知しない。
 健闘を祈る。
 このテープは自動的に消滅する。

 ウン、???




[◆ その後]


NHKニュース 2011年4月24日 19時3分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110424/t10015519641000.html

国産ロボット 作業に向け準備

 東京電力福島第一原子力発電所では17日にアメリカ製のロボットが放射線量が高い原子炉建屋内部の撮影などを行いましたが、原発での作業に向けて準備を進めている日本製のロボットが24日に公開されました。

 このロボットは、撮影などのほかに、がれきが散乱する建物内部の状況を立体的な映像に表す機能も持っていて、今後の活用が期待されています。
 このロボットは、災害現場で使うため、千葉工業大学や東北大学などの研究グループが開発したもので、福島第一原発での作業に向けて最終的な準備を進めている千葉県習志野市の千葉工業大学で公開されました。

 ロボットは、幅20センチ余りの2本の走行用ベルトなどで地面をはうように移動しながら、高さ1メートルの垂直に伸びた棒の上に取り付けられたカメラや線量計で、撮影や測定をしていきます。
 また、がれきの上や階段を自由に移動できるほか、ケーブルで動くロボットと無線で動くロボットの2台を組み合わせて、電波が届きにくい原子炉建屋の地下や2階以上での作業を目指しています。
 さらに、このロボットは、レーザー光を発しながらその跳ね返りを捉えたうえで、立体的な映像に表す機能を持っていて、平面的な映像だけでは分からない、がれきが散乱したり大きく壊れたりした状況を把握できるということです。

 ロボットに使われている半導体などの電子部品は、高い放射線量で劣化するため、つくば市の研究所でこのロボットの耐久性を調べた結果、今回の現場で作業員の限度量となっている放射線量の400倍でも、故障しないことが確認されたということです。
 千葉工業大学、未来ロボット技術研究センターの小柳栄次副所長は
 「開発したロボットは操作性や運動能力では世界トップクラスだ。
 現場の状況がさらに分かれば、それに適応した改良ができる」
と話しています。

 東京電力などによりますと、このロボットの現場への投入は最終的に検討している段階で、東京電力の社員が操作方法を確認するなどの準備を進めているということです。








YAHOO 毎日新聞 4月27日(水)18時38分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110427-00000013-maiall-soci

<東日本大震災>国産ロボットのクインス 改造して福島第1原発事故現場に投入へ

 NPO法人「国際レスキューシステム研究機構」(IRS、神戸市)と千葉工業大、東北大などが、開発中の緊急災害対応ロボット「Quince」(クインス)を福島第1原発に投入する準備を進めている。
 千葉市消防局の訓練に使われているレスキューロボットで、震災直前に米国の試験施設で40平方メートルの木材がれき走破を達成し、走破能力は世界一と評価された。
 国際ロボットの実力を示すチャンスと、小柳栄次・千葉工大教授らは原発事故での初の”実戦”に備えている。

 クインスは、被災した化学工場や、地下鉄サリン事件のような化学テロの現場といった閉鎖空間で情報を収集するためのロボットとして開発されてきた。
 スプリンクラーの散水に耐えられる防水・防塵設計で、約20センチの水たまりなら、車高を変えて越えられる。
 小柳教授らは、福島第1原発周辺の放射線量測定や、原子炉建屋内の調査にクインスが役立つと、3月16日から改造に着手した。
 新たに線量計やカメラなどを装備したほか、3次元スキャナーで写真では分かりにくい室内の損壊状況を調べたり、アームをつけて軽量のがれきを採取するといったことも可能になっている。

 ただ、福島第1原発への投入には課題があった。
 その一つは、建屋内で無線の届く範囲が極めて狭いことだ。
 作業員の被ばくを軽減するためには、なるべく遠くからロボットを操縦できることが望ましい。
 このため小柳教授らは、クインスを2台1組で使い、500メートルのケーブルをつないだ有線クインスを中継機にして、無線で動くクインスが階上を探査する方法を考案した。
 ケーブルがからまる危険はあるが、無線操縦のクインスの操縦遅延が軽減される利点があるという。
 先に投入された米アイロボット社製のロボット「パックボット」の調査で、建屋1階の一部で無線が届く場所はすでに判明しており、クインスはそれ以外の場所や階上部分の調査に期待が高まる。

 もう一つの課題は、放射線に耐えるかどうかだ。
 東北大の永谷圭司准教授(航空宇宙工学)らが、クインス内部の半導体基板に20シーベルトのガンマ線を5時間あて、機器が壊れないかチェックした。
 永谷准教授によると、累積で100シーベルトまでは不具合はなく、100シーベルトを超えた後に回路の一部が壊れたにとどまった。
 政府と東電の事故対策統合本部のリモートコントロール化プロジェクトチーム(PT)のメンバー、浅間一東大教授は、
 「20シーベルト程度の環境での作業には問題がない」
と説明する。

 浅間教授によると、同PTではクインス、パックボットも含めて、10以上のロボットを福島第1原発への投入候補として提案したという。
 クインスの操縦には訓練が必要で、投入が決まれば、千葉工大などで3日間訓練し、その後、現場に近い場所で実際の作業に合わせた練習をする必要があるという。
 IRSでは、クインス6台と、クインスの一代前のロボット「ケナフ」12台を投入できるとして、準備を進める。

 1999年9月に起こった核燃料加工会社JCO東海事業所の臨界事故後、原発事故対策ロボットの開発プロジェクトがあったが1年で終了し、実用ロボットの開発に至らなかった。
 このため、今回の福島第1原発事故に対応できるようなロボットは国内にはなかった。
 予算申請しても「原発事故はありえない」と認められない可能性が高く、ロボット研究者も手がけずにいた。
 浅間教授は
 「原発事故にすぐに導入可能なロボットは今の日本にはない。
 事故の発生率は低くてもリスクを考慮して、国が(ロボット開発)戦略を再構築する必要がある」
と話している。




Yahoo 毎日新聞 4月28日(木)21時1分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110428-00000120-mai-soci

<福島第1原発>
 ロボット導入…その名は「チームニッポン」

 東京電力福島第1原発事故で、政府と東電の事故対策統合本部(本部長・菅直人首相)は28日、施設内の放射線測定態勢を強化するためのシステムを発表した。
 放射線の発生源を特殊なカメラで突き止める「ロボット操作車」と、線量を測定するロボットを組み合わせ、「TEAM NIPPON」(チームニッポン)と名付けた。来月にも導入する。

 ◇放射線測定強化

 操作車は日本原子力研究開発機構が開発した。
 貨物室の後部に放射線の一種(ガンマ線)を捉えるカメラを備え付け、強い放射線を出している物質ががれきなどに紛れ込んでいても、その場所や強さを、最大100メートルの距離から色分けして可視化できる。
 貨物室は放射線を遮る特殊な布で覆われ、内部の作業者の被ばくを9割抑えられる。
 現在は作業員が被ばく線量を管理しながら測定している。

 放射線源を発見すると、線量計を備えた米キネティック社の軍事ロボット「タロン」が操作車から出動。
 対象に接近し、線量を測る。GPS(全地球測位システム)機能を搭載しているため、測定値と位置を地図に明示できる。
 このシステムの導入により、施設内のどこがどれだけ汚染されているかを示す地図をより細かく作成できる。

 同原発ではすでに、無償提供された米アイロボット社製の「パックボット」2台が、原子炉建屋内の調査などで活動中。
 千葉工大や東北大などが開発した、がれきなどを乗り越える「クインス」も導入に向けて試験中だ。




== 東日本大震災 == 



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